Paul Cox『ポール・コックス デザイン&アート』制作のキーワード10を紐解く

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ポール・コックスはフランス出身のイラストレーター。

2015年にはJR東日本の北陸新幹線開通のキャンペーンイラストを手がけています。

カラフルな配色と、シンプルで温かみのあるアートワークが印象に残りますね。

先日上野にある「国際子ども図書館」の児童書研究資料室で、ポール・コックスの作品集『ポール・コックス デザイン&アート』を見つけました。

その中で紹介されていた、ポール・コックスの「制作のキーワード10」の特集が勉強になったのでご紹介します。

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01 デッサン

制作の第一歩は、デッサンすることから。

ポールはデッサンの大切さを、フランスの画家、ボナールの本を例に挙げて説いています。

ちょうど今朝ボナールの本を読んでいたんです。彼は「デッサンは直感、色彩は合理的なもの」と書いています。色彩を表現する作家という印象の彼ですら、最初にデッサンに注力していたんです。

Paul Cox(2017) 『ポール・コックス デザイン&アート』pp.195 パイインターナショナル

きょーみ

ボナールのデッサンは直感、色彩は合理的なものという言葉が響きますね。ポールは制作のアイデアをメモしておいて、後で切り貼りしながらつなげたりもしています。
01 頭の中で直感的にひらめいたアイデアを、手を動かして具現化する

02 ネガテイブとポジティブ

ポジティブ面だけでなく、ネガティブ面にも着目せよ。

きょーみ

ネガティブとポジティブ、つまりデザインにおける「地」と「図」のことを指しています。「背景」という表現が一番しっくりくるかもしれません。
02 モチーフの背景である、ネガティブ面を意識する

03 繰り返し

絵の中に、繰り返しを組む込む。

絵のなかに繰り返し、パターンを入れるようにしています。

(中略)・・・繰り返しがあることが見るものを心地よくさせるのでしょう。

Paul Cox(2017) 『ポール・コックス デザイン&アート』pp.195 パイインターナショナル

03 絵の中にパターンを組み込む

04 コントラスト

円の中に直線を入れると、両者が際立つ。

別の要素と比較することで、はじめて対象が際立つ。

04 対象間のコントラストを意識する

05 グリッド

グリッドを効果的に活用せよ。

グリッドが好きで、よく使います。

絵の表面に、深さとバイブレーションを与えてくれます。

Paul Cox(2017) 『ポール・コックス デザイン&アート』pp.196 パイインターナショナル

きょーみ

なるほど。グリッドで全体のバランスを取る手法は使えそうです。
05 行き詰まったら、グリッドを取り入れてみる

06 色

合理的に、色を使う。

たとえば、楽器を選んでオーケストラの編成を考えるように、色のハーモニーやコントラストを考えるんです。

Paul Cox(2017) 『ポール・コックス デザイン&アート』pp.196 パイインターナショナル

KYOMI

配色には一定のパターンがあると思います。サルワカさんの配色のパターンの見本40選も参考になります。
06 色は合理的に考えてみる

07 未完成

あえて、完成させない。

「線が閉じていない」「未完成」ということが大事だと思っています。

閉じていない線や完成していない部分があると、見るものがそこを頭の中で補うことになるので、とても効果的です。

(中略)・・・何もない空間をあえて設けることで、絵全体が生き生きとしてくるんです。

Paul Cox(2017) 『ポール・コックス デザイン&アート』pp.196 パイインターナショナル

きょーみ

屋根を完成させず、近日「オープン」することや開放感、自分好みにカスタマイズできるなど、視聴者に思考の余白を持たせています。
07 「未完成の美」もある

08 制作の出発点

欲望だけが、ただ一つの制作の出発点である。

きょーみ

与えられた課題をこなすだけではなく、自分の描きたい、作りたいという感情を大事にしたいです。
08 コンセプトに縛られるのではなく、「何を作りたいか」を大事にする

09 技術と創作意欲

何かを制作するときに、「まずは技術を習得してから」という考えを捨てよ。

強い欲望というのは、技術を学ぶための最高のモチベーションになると思いませんか?

(中略)・・・水泳もそうですが、どうやったら泳げるかという本を読むより、実際にプールに入ったほうがいいでしょう。それと同じです。

Paul Cox(2017) 『ポール・コックス デザイン&アート』pp.197 パイインターナショナル

09 「スキルがない」ことを動き出さない理由にしない。実践あるのみ

10 自分のスタイル

自分のスタイルは後からついてくるものである。

画風でなく、思考が大事

きょーみ

手を動かしてみて、試行錯誤する中で自分のスタイルが確立していく、ということですね。
10 最初から自分のスタイルにとらわれない

まとめ

ポール・コックス「制作のキーワード」10選をご紹介しました。

以下、わたしが学んだことのまとめです。

  • デッサン
    頭の中で直感的にひらめいたアイデアを、手を動かして具現化する
  • ネガテイブとポジティブ
    モチーフの背景である、ネガティブ面を意識する
  • 繰り返し
    絵の中にパターンを組み込む
  • コントラスト
    対象間のコントラストを意識する
  • グリッド
    行き詰まったら、グリッドを取り入れてみる

  • 色は合理的に考えてみる
  • 未完成
    「未完成の美」もある
  • 制作の出発点
    コンセプトに縛られるのではなく、「何を作りたいか」を大事にする
  • 技術と創作意欲
    「スキルがない」ことを動き出さない理由にしない。実践あるのみ
  • 自分のスタイル
    最初から自分のスタイルにとらわれない

国際子ども図書館」の児童書研究資料室では、世界各国の絵本が無料で閲覧できます。

上野公園にお越しの際、時間があれば寄ってみてはいかがでしょうか。