きょーみ
「チンチロリンハイボール」とは、サイコロの出目によってドリンクの値段やジョッキの大きさが変わる、ゲーム性を持たせた居酒屋のドリンクメニューの一種です。
よくあるルールの例として、「2つのサイコロを振ってゾロ目が出たら1杯無料、足した数が偶数なら1杯半額、奇数ならWサイズで倍額になる」というものがあります。
サイコロの1~6の目が出る確率は全て同様であると仮定して、このゲームを1回プレイした時、支出額の期待値はいくらになるでしょうか?
結論から言うと、ハイボールの価格が1杯350円の場合、支出額の期待値は約408円となります。
果たして期待値408円は安いのか、それとも高いのか…?
期待値から、チンチロリンハイボールを宴会で楽しむ活用法について考察します。
もくじ
チンチロリンハイボールの期待値を求める
ゾロ目、偶数、奇数になる確率
まず、2つのサイコロを振った時の出目のパターンを場合分けしてみます。
サイコロA、Bを1回振った時の出目のパターンは6 × 6 = 36通りです。
36通りの組み合わせのうち、ゾロ目が出るパターンは(1,1)(2,2)(3,3)(4,4)(5,5)(6,6)の計6通りになります。
同様に、偶数が出るパターンは計12通り、奇数が出るパターンは計18通りとなります。
以上から、サイコロの目がゾロ目、偶数、奇数になる確率を求めると、
- ゾロ目
- 偶数
- 奇数
6/36 = 1/6
12/36 = 1/3
18/36 =1/2
となります。
確率から期待値を求める
次に、上記で求めた確率から支払額の期待値を求めます。
ハイボール1杯の価格を350円、半額を175円、倍額を700円とすると支払額の期待値は以下の数式によって求められます。
0 × 1/6(ゾロ目の場合)+ 175 × 1/3(半額の場合) + 700 × 1/2(倍額の場合)
= 408.3333 ・・・ ≒ 408
よってハイボールの価格が350円の時、支払額の期待値は408円となります。
期待値の関数を導き出す
次に、ハイボールの価格がx円だった時の期待値を求めてみます。
ハイボール1杯の価格をx円、半額を1/2x円、倍額を2x円とすると、以下のように計算できます。
これを計算すると、期待値 f(x)= 7/6xとなります。
X軸にハイボール1杯あたりの価格、Y軸に期待値を取ってグラフを描くと、期待値を一次関数で表すことができます。
ハイボールの価格が1円上がった時、支払額の期待値はおよそ1.17円上がる計算になります。
グラフの傾き=7/6>1であることから、ハイボール一杯あたりの価格が上がれば上がるほど、期待値の上がり幅も大きくなっていくことが読み取れます。
考察
期待値408円をどう見るか
通常価格350円に対して期待値408円と聞くと、「なんだ…損するじゃないか」と感じるかもしれません。
たしかに価格だけ見て考えれば、普通に一杯頼む時と比べて支払額が大きくなる可能性は高いです。
しかしチンチロリンハイボールには、サイコロを振るドキドキ感、結果が出る前後の周囲の盛り上がりなどの価格だけでは測れない特有の性質があります。
従ってトータルで考えれば、わたしは期待値408円はむしろ破格で良心的であると考えます。
差額の58円は、場を盛り上げるためのお楽しみ料だと思って割り切る。
これが、チンチロリンハイボールの健全な楽しみ方ではないでしょうか。
「どっちに転んでも大丈夫」が最強のマインド
挑戦するなら「どっちに転んでも大丈夫」という気軽さを持って楽しむのがおすすめです。
チンチロリンハイボールに挑戦した時と、350円のハイボールを普通に頼んだ時の効用を比較してみましょう。
ゾロ目、偶数の目が出れば、普通にハイボールを頼む時より安くハイボールを飲むことができます。
奇数の目が出たら、ハイボールを普通に2杯頼む時と同じ効用を得ることになります。
50%の確率でWジョッキを引くことになるので、「無料か半額になればラッキーだし、Wジョッキが来ても大丈夫」くらいのマインドを持って挑戦するのが理想的であると言えます。
チンチロリンハイボールに挑戦する最適なタイミング
わたしがおすすめするチンチロリンハイボールに挑戦するのに最適なタイミングは、ズバリ宴会の中盤です。
適度にお酒が入り場が温まってきた宴会中盤が、チンチロリンハイボールに挑戦するベストなタイミングだと言えます。
ハイボールは唐揚げなどの揚げ物と一緒に飲みたくなるお酒です。
とりわけWジョッキを引けば、高確率で揚げ物などのおつまみを追加で頼むことになるでしょう。
つまり、おいしくハイボールを楽しむためには、まだハイボールWとおつまみが胃に入る余裕がある間に挑戦することが肝要です。
くれぐれも締めのタイミングで頼んで、後悔することのないように注意しましょう。
おわりに
チンチロリンハイボールの期待値から、宴会での楽しみ方について考察してみました。
- 期待値408円は実は破格である
- Wジョッキとつまみを楽しめる余裕があれば、やっても損はしない
- 一杯あたりの価格が高くなるほど、期待値とのギャップが大きくなる
チンチロリンハイボールは店舗にとっても顧客にとっても、期待値以上の効用をもたらしてくれる素晴らしいサービスだと思います。
上手に活用して場を盛り上げ、ハイボールと料理を楽しみましょう。